私たちの周りには、驚くほど多様な種類のアリが生息しています。公園の砂場や庭先、時には家の中にまで姿を現す彼らですが、一口にアリと言っても、その大きさ、色、形、そして生態は様々です。アリの種類を正確に見分けることは、単なる好奇心を満たすだけでなく、家屋への侵入を防いだり、場合によっては危険な種類から身を守ったりするためにも重要になります。アリの種類を見分けるための基本的なポイントは、まず「大きさ」と「色」です。日本でよく見かけるアリでも、体長が1センチを超える大型のクロオオアリから、2ミリメートル程度の非常に小さなイエヒメアリまで、大きさにはかなりの幅があります。色も、一般的な黒色や茶褐色だけでなく、赤みがかった色や黄色っぽい色のアリも存在します。次に注目したいのが「体の形状」、特に胸部と腹部の間にある「腹柄節(ふくへいせつ)」と呼ばれるくびれの数です。この節が一つなのか二つなのかは、アリの種類を分類する上で重要な特徴となります。例えば、クロオオアリやケアリ類は腹柄節が一つですが、イエヒメアリやオオズアリなどは二つあります。ルーペなどを使って観察すると分かりやすいでしょう。また、「生息場所」や「行動パターン」も種類を見分けるヒントになります。庭の土中や朽ち木に巣を作る種類、家屋の隙間を好む種類、行列を作って餌を運ぶ種類、単独で行動することが多い種類など、その生態は多岐にわたります。例えば、家の中でよく見かける小さな茶色のアリが行列を作っていれば、トビイロケアリの可能性が考えられます。非常に小さな黄色っぽいアリがキッチン周りに出没するなら、イエヒメアリかもしれません。近年、問題となっている特定外来生物のアルゼンチンアリや、毒性の強いヒアリなども、特徴的な形態や生態を持っていますが、正確な同定は難しい場合もあります。もし見慣れないアリを見つけたり、危険なアリかもしれないと疑われる場合は、むやみに触らず、写真に撮るなどして記録し、自治体の環境課や害虫駆除の専門業者に相談することをお勧めします。身近なアリの種類とその見分け方を知ることで、彼らとのより良い付き合い方、あるいは適切な対処法を見つけることができるでしょう。
身近なアリ種類の見分け方ガイド