キッチンや洗面所など、家の中の水回りや食品の近くで、非常に小さな黄色っぽいアリを見かけたことはありませんか。もしそのアリが体長2ミリメートル程度で、淡い黄褐色から赤褐色をしているなら、「イエヒメアリ」の可能性が高いです。イエヒメアリは世界中に分布する小型のアリで、日本では家屋害虫として知られています。彼らは屋外よりも、暖かく餌の豊富な家屋の内部を好み、壁の隙間や家具の裏、コンセントの中、時には電化製品の内部など、ありとあらゆる狭い場所に巣を作ります。非常に小さいため、わずかな隙間からでも容易に侵入し、一度住み着くと根絶が難しい厄介な存在です。見分け方のポイントは、まずその「小ささ」と「色」です。体長は1.5ミリメートルから2.5ミリメートル程度と、肉眼では点のように見えるほど小さいのが特徴です。体色は全体的に淡い黄褐色から赤褐色で、腹部の後方がやや黒っぽくなっていることが多いです。そして、重要な識別点として、胸部と腹部の間にある「腹柄節」が二つあることが挙げられます。動きは比較的ゆっくりとしており、個々がバラバラに歩き回っているように見えることもありますが、餌を見つけると行列を作ることもあります。食性は雑食性で、特に砂糖やパンくずなどの糖分、肉や油などのタンパク質や脂質を好みます。そのため、キッチン周りで発生することが多いのです。イエヒメアリは人を刺すことはほとんどありませんが、食品に混入したり、電化製品に入り込んでショートさせたりする被害が報告されています。また、稀に皮膚の弱い人が咬まれて軽い炎症を起こすこともあります。その小ささと繁殖力の高さから、市販の殺虫剤だけでは根絶が難しく、巣ごと駆除できるベイト剤(毒餌)の使用や、場合によっては専門業者による駆除が必要となることもあります。もし家の中で特徴に合致する小さなアリを見つけたら、イエヒメアリを疑い、早めに対策を講じることが重要です。