私たちは、地域包括支援センターで、高齢者やそのご家族からの様々な相談に応じています。近年、特に深刻化しているのが、セルフネグレクトに起因するゴミ屋敷の問題です。今日は、その支援の現場の実態についてお話ししたいと思います。私たちが関わるケースの多くは、近隣住民からの「悪臭がする」「様子がおかしい」といった通報から始まります。しかし、そこから本人に辿り着くまでが、まず第一の壁です。ご本人は、助けが必要だと認識していない、あるいは、他人に介入されることを極度に嫌がることが多く、訪問してもドアを開けてもらえないことは日常茶飯事です。私たちは、犯罪者ではないかと疑われたり、罵声を浴びせられたりしながらも、その方の命を守るために、何度も足を運びます。ようやく家の中に入れたとしても、その光景は壮絶です。ゴミの山だけでなく、排泄物が放置されていたり、ネズミや害虫が走り回っていたりすることも珍しくありません。私たちは、その方の尊厳を傷つけないよう、決して驚いた顔を見せず、「大変でしたね」と声をかけることから始めます。しかし、支援には法的な限界もあります。本人が支援を明確に拒否した場合、たとえ命の危険があったとしても、強制的に介入することはできません。個人の権利と、命の安全の狭間で、私たち支援者は日々葛藤しています。ご家族から「なぜもっと早く対応してくれないのか」とお叱りを受けることもありますが、私たちは法律の範囲内でしか動けないのです。セルフネグレクトは、高齢者だけの問題ではありません。近年は、精神疾患を抱える若者や中年のひきこもりの方のケースも増えています。社会から孤立し、誰にもSOSを出せない人々が、ゴミ屋敷という形で、その存在をかろうじて示している。私たちは、その声なき声を聞き逃さないよう、今日も現場に向かっています。